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専門家に聞くオール電化

人にも地球にもやさしい住まいづくりのために

東京大学大学院工学系研究科 建築学専攻教授 坂本雄三(さかもとゆうぞう)

給湯についてはどうお考えでしょうか。

給湯機

 そうですね。給湯も省エネにとって非常に重要な問題です。日本人はお風呂好きだから、給湯に使うエネルギーが多くて、日本の家庭で使っているエネルギーの30%以上は給湯に使われています。昔はお風呂がどこの家にもあるわけじゃなかったから、その点では、昔の方が省エネだったかもしれませんね(笑)。
 昭和48年にオイルショックがあった影響でソーラーエネルギーが見直され、80年代までは太陽熱温水器も注目されていたのですが、住宅の断熱のようには普及しなかった。日本は気温が零度以下にならない場所も多く、ソーラーエネルギーを使うには非常に条件がよいのですが、初期コストが高くつくせいか、さほどメジャーな存在にならなかった。そんな折、給湯分野でもヒートポンプを使った機器「エコキュート」が誕生したんですね。
 エコキュートは、効率も良く、オゾン層を破壊するフロンも使っていないため、それまでの電気温水器に代わって注目されるようになった。まさに省エネ時代の寵児になったわけです。給湯においても、ヒートポンプのポテンシャルは非常に高いと言えます。燃焼系の給湯器は太刀打ちできなくなるのではないでしょうか。

ヒートポンプの技術について教えてください。

坂本雄三

 ヒートポンプは冷蔵庫やエアコンに昔から使われていて、技術としては新しいものではありません。ヒート=熱、ポンプ=汲み上げる、の字のごとく、空気中などに無尽蔵にある熱を、室内などに汲み上げて(移動させて)利用する技術です。熱を「移動させる」だけですから、化石燃料を燃やして熱を「つくり出す」のにくらべると、はるかに効率が良い、というわけです。
 80年代には、既に冷房・暖房・給湯もできる家庭用の多機能ヒートポンプがあったんです。その当時はフロンを使うものだったんですが。僕はその技術を非常に評価していたのですが、残念ながら爆発的に浸透するには至らなかった。いま思えば早すぎたのかもしれませんね。
 ところが、時代が進み、フロンを使わないヒートポンプ式の給湯機が開発されるようになった。それがエコキュートです。効率も良いし、深夜電力を活用することで電気代も三分の一になる。家庭用の給湯には従前からガスが多く使われていたのですが、エコキュートの登場で市場に変化が起きた。「ガスでお湯を作る」ということから、「電気でお湯を沸かす」というように、家庭における給湯のイメージが変わって、関心を持つ人も増えてきました。

環境やエネルギーの問題が社会的に大きな注目を集めていますが、どのようにお考えですか。

 個人的には、CO2排出による温暖化と気候変動の問題もさることながら、エネルギー資源の問題の方に強い関心があります。エネルギー資源の世界的な争奪戦に対して、日本がどのようにがんばっていくのかが重要だと思います。もっとメディアがこの問題の重要性について発信しなければならないと思いますね。
 日本では、多くの国民が石油をはじめとするエネルギーの問題についてほとんど考えていない。石油を産出している中東の国でさえ、石油が枯渇したときのことを考えて国づくりを行っているのです。わが国でも、資源に関しては、もっと掘り下げて考えていかなければならないと思います。地球環境の問題もあるけれど、エネルギー資源の確保と省エネルギーに関して、もっと考え、行動しなければならない。大きな問題だと思います。

最後に、これからお家を建てたいという方に、アドバイスをお願いします。

坂本雄三

 これから家を建てるとするなら、性能とデザインに気を付けてほしいですね。家は、自分や家族の一生のプランと関わるもの。将来のライフプランを踏まえて建てる必要があります。さらに、住宅は社会の資産でもある。そのことはぜひ考えてほしいですね。  家は自分達だけのものではなく、子供や孫の世代においても社会的存在であり、いろいろな人が住んだり、景観の一部になったりする可能性が高いということを認識してほしい。そういうことを考えると、デザインに関してはオーソドックスなものが良いでしょうね。

坂本雄三(さかもとゆうぞう)
東京大学大学院工学系研究科 建築学専攻教授